音声広報CD「明日への声」トラックナンバー4 vol.94(令和5年(2023年)11月発行)

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(イントロダクション:女性ナレーター)

近年のアウトドアブームで、登山を始めた方や、山のレジャーを楽しむ機会が増えた方も多いでしょう。自然に親しむ山のレジャーは心身のリフレッシュができますが、一方で、山は年間を通じて多くの事故が発生しています。山のレジャーを安全に楽しんでいただけるよう、事故を防ぐポイントをまとめました。

(本文:Q.女性ナレーター/A.男性ナレーター)

Q1:山の事故が多く発生していると聞きました。どのくらい発生しているのですか?

A1:警察庁が発表したデータによると、2022年には3,015件、3,506人の山岳遭難が発生し、そのうち死者・行方不明者は327人となっています。発生件数、遭難者数はいずれも過去最多となりました。

Q2:そんなにも発生しているのですね。近年、登山道の整備や登山装備の進歩もあって、誰もが気軽に登山を楽しむことができるようになりましたが、自然を甘く見てはいけないということですね。それでは、登山を安全に楽しむためのポイントを教えてください。

A2:まずは、事前の情報収集が大切です。山の地形や登山道、過去の事故情報などを把握し、装備や服装、ルート選び、スケジュール作成の参考にしましょう。また、登山中に天候が崩れると、事故の可能性が高まります。登山の予定を立てるときは、天気予報を確認し、天候不良が予測される場合は中止・延期をお勧めします。山の天候は変わりやすいので、当日の天気予報をチェックするのはもちろん、登山中も携帯ラジオなどでこまめに気象情報をチェックしましょう。

Q3:事前準備が大切なのですね。安全に登山を行うためにはどのように計画を立てれば良いのでしょうか?

A3:登山計画を練る際は、無理のない計画を立てることが重要です。安全な登山は、どの山に登るかという計画から始まります。登山者の体力や体調、登山の経験や技量などに見合った山やコースを選びましょう。コース選定と併せて、滑落などの危険箇所や、山小屋などの宿泊施設、避難施設がどこにあるのか、営業しているのかなど、事前によく調べ、回避コースを含めて十分に把握することが重要です。

Q4:登山コースを決める際には、下山のシミュレーションをしておくことも重要ですよね。

A4:はい、疲れすぎないよう、適宜、休憩をとることも考慮しながら、時間にゆとりをもった無理のないスケジュールを立てることが大切です。日没が近づくと山道は急に暗くなるので、明るいうちに下山できるようなスケジュールにしましょう。さらに、計画を立てたら、登山計画書にまとめておくことも重要です。

Q5:登山計画書とはどのようなものでしょうか?

A5:登山者の氏名や連絡先、日程やコースなどをまとめたものです。登山口などに設置されている「登山届ポスト」、地方自治体、山を管轄する都道府県警察などに提出しておきましょう。また、家族や職場などにも共有しおくことで、万が一の場合の素早い捜索救助の手掛かりとなります。これまでも登山計画書を提出していたことで、命拾いをしたという例が数多くあります。山岳遭難は低い山でも発生しています。登る山の標高にかかわらず、登山計画書の作成・提出を徹底しましょう。また、提出先には下山の報告を忘れないよう心掛けましょう。

Q6:事前に登山計画書を作成しておくことが大事なことは分かりました。では、登山当日はどのような装備が必要ですか?

A6:登山に適した装備は、登山をする時期や、山の気候、日帰りか宿泊かなどによって異なります。登山計画を基に、どのような装備が必要かを考え、万全の準備で登山に臨みましょう。また、道迷いなどによる山岳遭難を防ぐために、スマートフォン用の登山地図アプリをインストールしておくことも重要です。万が一遭難したときに助けを呼べるよう、携帯電話や無線機などの通信手段を予備バッテリーも含めて必ず携行しましょう。携帯電話などにGPS機能が付いていれば、自分の現在地を正確に救助機関に伝えることができ、速やかな救助につながる可能性が高まります。

Q7:それは安心ですね。そもそも、山岳遭難はどのようなことが原因で起きるのでしょうか?

A7:天候の急変や不十分な装備で体力的に無理な計画を立てることなどが原因となることが多いです。事前に天候情報を確認していても、当日や登山中になって悪天候になることもあり得ますし、前日まで健康だったとしても、疲労や病気などで体調不良になることも考えられます。そうした場合、予定しているからといって、無理に登山を続けるのは非常に危険です。状況を冷静に判断して、早めに中止するか、引き返すよう努めましょう。

Q8:冷静な判断と慎重な行動が必要ですね。山を登りきってしまえば、後は安心でしょうか?

A8:そんなことはありません。登山において最も注意しないといけないのが「下山」です。遭難事故は下山時に多く起きています。下山では足腰に疲労がたまるため、転倒や滑落の危険が高まります。足元に注意をしながらゆっくり、慎重に進むことを心掛けましょう。また、道迷いにも気を付けなければいけません。下ばかり見て進んでしまうと、登山道にある看板などを見落として間違った道に入ってしまう危険性があります。

Q9:もし、下山時に道に迷ってしまったら、どうすればよいでしょうか?

A9:そのまま下山をするのではなく、元の道に引き返すようにしましょう。道に迷ったまま下山し、視界が開けた場所に進んだと思って、崖から転落するといった事故も発生しています。正規の登山道に戻れない場合は、木々のない開けた場所や尾根など救助隊に見つけてもらいやすい場所で体力を温存して待機するようにしましょう。

Q10:分かりました。万が一遭難してしまったら、どうすれば良いですか?

A10:救助を必要とする場合は、110番又は119番に電話をしましょう。一刻を争う場合、ヘリコプターでの捜索・救助活動が必要になることもあります。提出された登山計画書や、避難場所のGPS位置情報があれば、より速やかに捜索場所を絞り込むことができます。ただし、救助要請があっても、遭難した場所の地形や気象条件によっては、ヘリコプターでの救助が行えない場合もあります。

(エンディング:女性ナレーター)

山では60歳以上の方を中心に山岳遭難が多発していますので、事前に安全対策のポイントを押さえておきましょう。また、季節を問わず、年間を通じ事故が発生していますので、それぞれの季節ごとの注意点も頭に入れておくと良いでしょう。

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