まるわかり!日本の防衛
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「日本の平和と独立の維持」を第一の使命に活動する自衛隊。近年では、陸・海・空の防衛にとどまらず、宇宙領域やサイバー領域などで増大する脅威にも立ち向かっているんです!番組では、自衛隊の活動を分かりやすく解説「まるわかり!日本の防衛~はじめての防衛白書~」から、日本の防衛の課題や自衛隊の役割そして取組をひもときます!日本の平和を守るため、宇宙作戦群?自衛隊サイバー防衛隊?電子作戦隊?
- ゲスト
防衛省 大臣官房 広報課
防衛白書事務室 室長
藤高 崇
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和5年(2023年)9月10日
- 再生時間
- 18分23秒
- 配信終了予定日
- 令和6年(2024年)9月9日
文字で読む
- 青木
- 足立さん、以前、自衛隊の世界を深掘りしたときに、私が自衛隊への熱い思いを語ったこと覚えていますか?それがご縁となって、その後、私「防衛省広報アドバイザー」に就任したんです。
- 足立
- そうですよね。
- 青木
- 今日は、その「防衛省広報アドバイザー」の役目を大いに発揮させていただける、そんなテーマです。
- 足立
- 前回は、自衛隊にはいろんな仕事をする人がいる、というお話が中心でしたよね。例えば、自衛隊員のメンタルヘルスケアをするかたに直接お話を伺ったり、警備犬の訓練をするドッグハンドラーの話題もありましたが、今回は何でしょうか?
- 青木
- 今回は「日本の防衛」の現状や課題、取組などを知っていただきたいと思いまして、こちらをお持ちしました!「まるわかり!日本の防衛~はじめての防衛白書~」
- 足立
- この冊子で、いろいろと詳しく知ることができそうですね。漢字に振り仮名もあって読みやすいですね。
- 青木
- そうなんです!この「防衛白書」は、毎年、防衛省が作っているんですが、こちらの「防衛白書」の内容を基に、主に小学校高学年や中学生、高校生の皆さんにも分かりやすく、日本の防衛について解説している冊子です。初版は2021年で、こちらは第3版。8月31日に税込440円で発売になったばかりです。
- 足立
- 確かに!この冊子を見ると分かりやすいですけども、なぜ、若者向けの冊子を作るようになったんですか?
- 青木
- やはり自衛隊についてよく知らない若者が少なくないからです。昨年、政府広報室が行った世論調査でも、「自衛隊に関心がある」と答えた人は、60代、70歳以上で多く、全体の8割近くになるのですが、「関心がない」と答えた人の割合は18歳から29歳までが最も多く、約半数、続いて30代、40代も多い傾向でした。そして「関心がない」理由で最も多いのは「自衛隊についてよく分からないから」、次に多いのが「自分の生活に関係ないから」です。
- 足立
- 「自分の生活に関係ないから」というかたも多いですが関係なくないんですよね。
- 青木
- そうです。そこで今日は、こちらの防衛白書「まるわかり!日本の防衛」をベースに、「日本の防衛」の現状や課題、取組をひもといていきたいと思います。こちらはインターネットでも公開されていますから、興味のある方は、私たちと一緒にネット版を開きながら耳を傾けてください。「まるわかり日本の防衛」で検索するとすぐに見付けられます。ということで、ここからは、こちらの冊子を編集された防衛省大臣官房広報課防衛白書事務室長の藤高崇さんにお話を伺います。
- 足立
- 藤高さん、「自衛隊のことをよく知らない」若者や、「自分の生活に関係がない」と思っている若者が少なくないということですが、まずは、改めて、自衛隊の使命や役割について教えていただけますか。
- 藤高
- はい。自衛隊は「陸上自衛隊」「海上自衛隊」「航空自衛隊」主に、この三つの組織で構成されていて、その第一の使命は日本の平和と独立を維持することです。国の独立が守られているから、私たちは政治や経済、社会のあり方を他の誰かに強制されず、私たち自身で決めることができています。また平和と安全は、私たちが安心して生活し、繁栄を続けていく上でなくてはならないものです。
- 青木
- でも、残念ながら、国の独立や平和、安全は願うばかりで実現できるものではありませんよね。日本は基本的に平和な国ですが、世界に目を向けると、国際社会では紛争やテロなど様々な問題が発生し続けています。日本だけが絶対に攻撃されないとは言い切れません。ですから、日本の平和や独立が脅かされないよう、日本にとって望ましい国際環境を作るための外交が重要になってくるんです。外交とは、他の国々と話し合い交渉したり、協力したりすることですが、その外交を効果的に行うためには防衛力が重要ですし、他の国から十分な力を持たない相手であると思われてしまうと、外交上、不利になってしまいますよね。
- 藤高
- そのとおりです。ですから、私たちは自分たちの国を守り抜く意思と能力があることを周りに示し、日本から何かを奪うのは難しいと他の国に思わせること、さらに、それでも他の国に攻め込まれるような場合には、確実に守り切ることができるようにしておくことが必要なんです。
- 青木
- 自衛隊が多くのお金と労力をかけて、能力を強化しているのは、他の国と戦争をしたいからではないんですよね。
- 藤高
- はい。自衛隊が万全の態勢を整えていることを示すことで、他の国に「日本とは戦争をしたくない」と思わせ、戦争が起きないようにするためです。自衛隊にとっての一番の勝利は「戦わずして勝つ」ことなんです。
- 足立
- 「戦わずして勝つ」が日本のとるべき戦略で、そのための防衛ということなんですね。では、実際、どのような取組が行われているのか教えていただきたいんですけど、その前に、最近の日本の周りの状況を知りたいです。最近は、以前よりも、北朝鮮から頻繁にミサイルが発射されていますよね。心配されている方も多いと思うんです。
- 藤高
- そうですね。北朝鮮は自身の政治体制を維持するために、核兵器や弾道ミサイルなどの開発や増強に取り組んでいて、すでにその能力は日本を攻撃することができるとみられています。また、中国は今世紀半ばに「世界一流の軍隊」を築き上げることを目標に急速に軍事力を強化しつつ、東シナ海・南シナ海において、力による一方的な現状変更やその試みを推し進めています。ロシアも軍の装備を新しくして、日本の周りも含めて活発な活動を続けており、日本周辺における安全保障環境は、戦後最も厳しい状況にあると言えます。
- 青木
- そのため、日本は今後5年間でおよそ43兆円のお金を使い防衛力を抜本的に強化していくこととしているんです。足立さん、自衛隊は日頃、どんな活動をしているのか、前回、番組でご紹介したのを覚えていますか?
- 足立
- もちろんです!日本周辺の海や空を常にパトロールして、外国の航空機や軍艦、ミサイルを警戒してくれているのがありました。
- 青木
- そうですね。365日24時間、警戒しています。
- 足立
- 自然災害が発生したときに対応してくれていること。東日本大震災のときも、真っ先に対応に当たってくれていましたよね。
- 青木
- 災害派遣もありますね!
- 足立
- そして、新型コロナウイルスの感染が拡大したときは、ワクチンの大規模接種センターを整備して、ワクチンを接種してくれたのが自衛隊だったというのは驚きでした。
- 青木
- それから、外国で緊急事態が起きた場合、その場所にいる日本人などを保護して安全な場所へ輸送してくれたり、災害に見舞われた国に物資を輸送して助けたりしているんですよね。そのため、自衛隊は日頃から船や航空機などの整備や、自衛隊員の教育訓練を行い、いざというときに備えているんです。
- 足立
- 何かあってから準備するのでは間に合いませんからね。近頃は急速に技術が進歩していますから、訓練しなくちゃいけないことも増えているんじゃないですか?例えば、ドローンの操縦とか。新しい技術がありますよね。
- 青木
- 足立さん、良いところに気付きましたね!実は近年は新しい戦い方に対応することが大きな課題なんですよね、藤高さん。
- 藤高
- はい。歴史を振り返ると、これまでの戦い方は航空機や軍艦によるものでしたが、近年はこれに加えて大規模なミサイル攻撃や、情報戦を含むハイブリッド戦が目立っています。
- 青木
- 相手にとって不利になる偽の情報を流して優位に立とうとしたり、無人機による攻撃や、核兵器による威嚇なども出てきていますよね。
- 藤高
- はい。また宇宙領域、サイバー領域、電磁波領域における世界の動きも活発です。こうしたものを組み合わせた「新しい戦い方」に対応できるかどうかが今後の防衛力を構築する上で大きな課題となっています。
- 足立
- 今、新たに取組を進めていることはありますか?
- 藤高
- はい。日本を防衛するためには、陸・海・空といった従来の領域にとどまらず、宇宙領域、サイバー領域、電磁波領域に対応していくことが必要と考え、自衛隊では、「宇宙作戦群」「自衛隊サイバー防衛隊」「電子作戦隊」という専門部隊を2021年度に新たに設置しました。
- 足立
- アニメや漫画、映画の世界のような気がしますが、そういった世界が現実になってきているんですね。「宇宙作戦群」というのは、どんなことをしているんですか?
- 藤高
- 宇宙空間の安定的な利用を確保するため、JAXAなどの関係機関や、アメリカなどの国とも連携しながら、宇宙領域の把握強化に努めています。自衛隊ではこれに加えて、人工衛星により撮影した衛星画像を活用した情報収集、自衛隊の情報通信に使用するための通信衛星の打ち上げ、衛星を活用した部隊の位置の把握など、宇宙領域を活用した各種能力の向上を進めています。
- 青木
- 宇宙空間に打ち上げられた人工衛星は、軍事施設を偵察したり、ミサイル発射を探知するのに非常に重要なんですが、重要だからこそ衛星の破壊を狙う動きもあるそうです。そうしたことに対応するためにも、宇宙領域の防衛力を高める必要があります。
- 足立
- 「自衛隊サイバー防衛隊」はどんなことをしているんですか?
- 藤高
- 24時間体制で、自らの通信ネットワークの監視やサイバー攻撃への対処を行っています。関係省庁やアメリカなどの国とも連携しながら、サイバー領域における能力の更なる強化を進めています。
- 青木
- 実際、国家が関与する高度なサイバー攻撃は頻発していて、その脅威は増大しているんですよね。
- 藤高
- はい。昨年は、アメリカの下院議長が台湾を訪れるのに合わせて、台湾の政府機関などを標的としたサイバー攻撃がありましたが、これに使用されたIPアドレスは、中国やロシアなどのものと公表されています。また、人気のオンラインゲーム内で、6億ドル相当の暗号資産が盗まれるという窃盗事件があったんですが、これは北朝鮮軍の関与が指摘されるサイバー攻撃グループ、「ラザルス」の犯行と公表されています。
- 足立
- サイバー空間ではそんなことが起こっているんですね。「日本は平和な国だから」と、安心してちゃいけないなと思いました。では「電子作戦隊」とは何ですか?
- 藤高
- 電磁波は防衛の分野において、通信機器やレーダーなどに数多く使われています。つまり現代の作戦では、電磁波が使えなくなると著しく不利になってしまいます。そのため、日本では、普段から他の国の電磁波に関する情報を収集・分析し、有事のときは、相手が電磁波をうまく使えなくするよう、無力化する装置などを全国の専門部隊に配備し、能力強化に努めています。
- 足立
- 防衛の方法が、すごく変わってきているんだなと感じました。
- 青木
- そうですね。特に、今は技術の進化、進歩が速く、それに伴って、防衛を取り巻く環境もどんどん変わっていくということですね。
- 足立
- それに対応していかないといけないんですね。
- 藤高
- 自衛隊は日本の独立と平和、安全を守るために日々活動しています。今日、触れることのできなかったAIなどの先端技術を活かした防衛なども「まるわかり!日本の防衛」に記載しています。是非、ご覧になっていただき、日本の防衛について理解を深めていただければと思います。
- 足立
- 今日の話を聞いて特に印象に残ったのは、自衛隊にとっての一番の勝利は「戦わずして勝つ」こと。この言葉がすごいなと思いました。自衛隊が万全の態勢を整えていることを示すことで、他の国が日本とは戦争をしたくないと思い、戦争が起きないようにする。そのために防衛を行う、ということをしっかり学べました。
- 青木
- 現状として、自衛隊についてよく知らない若者が少なくないということです。「自衛隊についてよく分からない」また、「自分の生活に関係がないから」という理由で、よく分からないというかたが多い、特に若い世代の方々も是非、「防衛白書」の内容を基に作られた冊子を手に取っていただきたいです。
ラジオCM
自転車乗車用ヘルメットの着用(CM)
今年の4月から、
自転車に乗る際のヘルメット着用が
努力義務となっています。
自転車事故で亡くなった方のおよそ6割が
頭部に致命傷を負っています。
また、ヘルメットを着用していなかった場合の致死率は
着用していた場合と比較して、およそ2倍高くなっています。
交通事故の被害を軽減するには、
ヘルメットを着用し、頭部を守ることが重要です。
いのちを守るため、
買い物や通勤など自転車に乗るときは
常にヘルメットを着用しましょう。
なお、ヘルメットは、
SGマークなどの安全性を示すマークの付いたものを使い、
あごひもをしっかり締めるなど、正しく着用しましょう。
明日のくらしをわかりやすく
♪ 政府広報 ♪