音声広報CD「明日への声」トラックナンバー2 vol.96(令和6年(2024年)3月発行)

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(イントロダクション:女性ナレーター)

2024年4月1日から事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化されます。「合理的配慮」とは具体的にどのようなことを指し、障害のある人に対応する際、事業者はどのような点に注意すべきなのかをご紹介します。

(本文:Q.女性ナレーター/A.男性ナレーター)

Q1:まず初めに、「合理的配慮の提供」の義務化を定めている「障害者差別解消法」とはどのような法律でしょうか?

A1:2013年6月に、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として制定された法律で、行政機関や事業者等に対して、障害のある人に対して障害を理由とする「不当な差別的取扱い」を禁止し、障害のある人から申出があった場合に、負担が重すぎない範囲で障害者の求めに応じ「合理的配慮」をするということを求める法律です。

Q2:この法律における「障害のある人」とは、障害者手帳を持っている人のことでしょうか?

A2:いいえ、障害者手帳を持っている人だけではありません。心や体のはたらきに障害のある人で、障害や社会の中にあるバリアによって、日常生活や社会生活に相当な制限を受けている全ての人が対象となります。また、「事業者」は、目的の営利・非営利、個人・法人を問わず企業や団体、店舗のことです。個人事業主やボランティア活動をするグループも「事業者」に含まれます。

Q3:「不当な差別的取扱い」とはなんですか?

A3:正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否したり、提供に当たって場所や時間帯を制限したりするなど、障害のない人と異なる取扱いをして、障害のある人を不利に扱うことをいいます。

Q4:なるほど。では例えば、障害のある人が来店したときに、正当な理由がないのに「障害のある方は入店お断りです」と言って入店を断ることなどが該当しますか?

A4:そうですね。「来店するときは保護者や介助者と一緒に来てください」などと言って、一律に介助者などの同伴をサービス提供の条件とする行為もこれに該当すると考えられます。他にも、障害のある人に対して言葉遣いや接客の態度など一律に接遇の質を下げる行為、障害の種類や程度などを考慮せず、漠然とした安全上の問題を理由に、施設の利用を断る行為、業務の遂行に支障がないにもかかわらず、障害のない人とは異なる場所での対応を行う行為も「不当な差別的取扱い」として禁止されています。

Q5:各事業者において正当な理由がある場合は、障害のある人にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めることが望ましいですね。それでは、「合理的配慮の提供」とはなんでしょうか?

A5:社会生活において提供されている設備やサービスなどは、障害のない人には簡単に利用できる一方で、障害のある人にとっては利用が難しく、結果として障害のある人の活動を制限してしまっている場合があります。このような、障害のある人にとっての社会的なバリアについて、個々の場面で障害のある人から「社会的なバリアを取り除いてほしい」という申出があった場合には、その実施に伴う負担が過重でない範囲で、バリアを取り除くために必要かつ合理的な対応をすることとされています。これを「合理的配慮の提供」といいます。2021年の障害者差別解消法の改正を受けて、2024年4月1日から、事業者においても「合理的配慮の提供」が義務化されることとなります。

Q6:「合理的配慮の提供」の具体例を教えてください。

A6:たとえば飲食店で障害のある人から「車椅子のまま着席したい」との申出があった場合は、机に備え付けの椅子を片付けて、車椅子のまま着席できるスペースを確保するといった対応や、障害のある人から「難聴のため筆談によるコミュニケーションを希望しているが、弱視でもあるため細いペンで書いた文字や小さな文字は読みづらい」との申出があった場合、太いペンで大きな文字を書いて筆談を行うなどの対応も「合理的配慮の提供」となります。

Q7:「合理的配慮の提供」に範囲はありますか?

A7:「合理的配慮」は、事業者等の事務や事業の目的・内容・機能に照らし、次の3つを満たすものでなくてはなりません。1つ目は、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること。2つ目は、障害のない人との比較において、同等の機会の提供を受けるためのものであること。3つ目は事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことです。

Q8:「過重な負担」かどうかはどのように判断されますか?

A8:次の5つのことを考慮して、具体的な場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。1つ目は、事務・事業への影響の程度。2つ目は実現可能性の程度。3つ目は費用・負担の程度。4つ目は事務・事業規模。5つ目は財政・財務状況になります。

Q9:「合理的配慮の提供」において、重要なことは何でしょうか?

A9:社会的なバリアを取り除くために必要な対応について、事業者と障害のある人との間で対話を重ね、共に解決策を検討していく「建設的対話」が重要です。障害のある人からの申出にそのまま対応することが難しい場合でも、障害のある人・事業者の双方が持っている情報や意見を伝え合い、建設的対話に努めることで、双方が納得できる代わりの手段を見つけていくことができます。

Q10:分からないこと、相談したいことがある場合、どこに相談すればよいでしょうか

A10:2023年10月から2025年3月まで、試行的に「つなぐ窓口」が開設されました。「不当な差別的取扱い」や「合理的配慮の提供」についての相談を地方自治体や各府省庁の適切な窓口につなぐほか、障害者差別解消法についてのご質問に回答する相談窓口です。「つなぐ窓口」への電話相談は、0120-262-701におかけください。10時から17時まで相談が可能で、祝日・年末年始を除く週7日で受付しています。メール相談も可能ですので、ぜひお気軽に相談してください。

(エンディング:女性ナレーター)

合理的配慮の内容は、障害の特性やそれぞれの場面・状況に応じて異なり、また、障害のある人への対応が「不当な差別的取扱い」に該当するかどうかも、個別の場面ごとに判断する必要があります。障害者差別解消法に関し、困りごとがあれば、まずはお住まいの地方自治体の相談窓口や「つなぐ窓口」に相談してください。障害のある人もない人も、互いにその人らしさを認め合いながら共に生きる社会を目指していきましょう。

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